デンマークの保育事情

北欧は福祉国家として有名ですが、その中でも世界最高水準の社会福祉制度を整え、世界でも民主主義が進んでいるといわれるデンマーク。
今回は、そのデンマークの保育についてご紹介いたします。

保育の特徴

デンマークでは、政府が1988年にすべての子どもは教育的で良い刺激を受ける環境としての公的通所保育施設を使えるよう保証することを国民に約束しました。これにより、子どもは親の収入に関係なく、保育施設を使えることが可能です。

デンマークは、0~3歳児は保育園・保育ママ、3~6歳までを幼稚園として教育制度を区分けしています。
デンマークの保育教育の特徴として、社会性の育成に重点を置いている点です。

・読み書きを教えない
・遊びによる対人関係の作り方
・選択の自由と結果の責任
・障害児と共に生活するなどの統合教育

のような特徴を持っています。

子どもの教育は、親の責任なので積極的に園の行事に参加しています。
デンマークはヨーロッパの中で女性の就業率が最も高い高い国で、10歳以下の子供を持つ親の8割はフルタイムで働いています。

デンマークでは、7歳の国民学校に入学する前に1年間「幼稚園学校」に入学します。
義務教育ではない子の制度ですが、国民学校での学校生活に慣れるために教育省が定めた制度です。

森の幼稚園

日本でも話題になりました「森の保育園」がデンマークにはあります。
森の中で保育するこの保育園ではほとんどの時間を森で過ごすために「感性が豊か」「身体が成長している」特徴を持っています。

有名になったのは森ですが、デンマークには自然を活かした「自然幼稚園」や自然を利用して運動する「運動幼稚園」農場を使用し、自然や動物と楽しむ「農業幼稚園」など様々な形態の保育所が存在します。

保護者達がバーベキューセットを配置し、3世代や地域皆で楽しめるようにするなど地域と密接した保育園となっています。
職員全員が食品衛生管理の教育を受けていて、買っているペットを時には調理します。
子どもたちは生き物の死や食べ物のありがたみを知ることになります。

デンマークにはテストがない

デンマークには「生き方の自由選択肢」という概念があり、『自分で学びを決める権利がある』という流れから就学の義務がありません。
もちろん、親は子供に教育を受けさせる義務が存在しますが、自宅学習という選択肢が認められているため、必ずしも教育を受ける=義務にはなりません。

その観点からか、学習能力や点数での評価をしない教育哲学があり、法律でテストが禁止されています。
確かにデンマーク人は自分と他人を比較したり、上下関係も気にしないのが特徴ですが、日本の順位をつけることで競争力を高めるとは真逆の発想といえます。
この効果は、子ども達から苦手意識を下げることに成功しています。

デンマークでは高校では、インターネットでテストを受けるというから驚きですよね。
もちろん履歴の管理やペースと対策を行っていますが。

テクノロジーが発達し、グローバル化された現代では、丸暗記といった昔ながらの方法よりも“情報を咀嚼し、人に伝える能力”を重視し、もっと現実に寄り添ったテストを実施する必要があるという理念からこのような形に落ち着きました。

まとめ

デンマークの教育制度は、「子供たちの成長のためにどのような方法で何が必要なのか」といった視点から組み立てられています。

デンマークの国際的な学力調査の結果は、成人の学力では先進国の中でも高い位置にあるというデータもこのようなグローバル化された考えから生まれてくるのかもしれません。