保育環境を常にチェック!運営は親、大家族のような親共同保育園
親共同保育を耳にしたことはありますか?
保育園に通う子どもの親たちが共同で保育園を運営することで、日本ではほとんどみないですよね。
さまざまなメリットがある親共同保育についてご紹介します。
アメリカ発祥、親共同保育園とは
保育施設に通う子どもの親同士が共同で運営する幼児教育・保育施設です。
多くの施設では、保育者を雇いながら親が当番で保育活動に加わります。
発祥はアメリカ。子どもの幼児教育や母親が出かける歳の預け先、母親の学習の機会を作るため、1916年にシカゴ大学職員の妻たちが立ち上げたことから始まりました。
その後、カリフォルニア州でテイラー博士が、1927年に親共同保育施設Children’s Community Centerを立ち上げました。
世界的に発展する親共同保育
テイラー博士は、核家族化が進み、女性の孤立していく状況のなか、親共同保育によって家族同士をつなぎ、大家族のように助け合う関係性を築けることを重視しました。
そして、カリフォルニア州に親共同保育の団体が設立したことを皮切りに、他州でも団体が設立されるまでに発展しました。
1954年には「Parents and Children Learn Together 」を出版し、世界の親共同保育運動のバイブルとして受け継がれています。
さらに1964年には、親共同保育の国際組織「Parent Cooperative Preschools International(PCPI)」を設立。
アメリカだけには留まらず、カナダやニュージーランド、イギリス、フランス、さらにはヨーロッパにも発展していきました。
親共同保育でのメリット
日本ではほとんどみない親共同保育ですが、世界的に展開している理由があります。その理由は?
■親たちが直接保育の質をチェックできる
一番の理由ではないでしょうか。親が直接チェックすることで、運営の透明性は高く、質の向上に親自らが貢献することができます。
保育者の他に親が保育活動に加わるので、日常的に多くの親が関わり保育の質や施設環境のチェックをし、何か問題があればすぐに解決することができます。
■子どもも嬉しいよりきめ細やかな保育が可能に
親が加わるため子どもの人数に対して大人の人数が多く、よりきめ細やかな保育を行うことができます。
そのため質を高めながら保育料を抑えることができるなんて嬉しいですよね。親の保育活動参加は、自分の子どもだけでなく、他の子どもたちの世話をするので、まさに家族同士がつながり大家族のような関係になります。
■親の気持ちを支える
核家族化で地域とのつながりも希薄化しているなか、子育て方法を知らない親にとっては、子育て方法を学べる場所となるのが親共同保育。
親同士がコミュニケーションを取ることで他の親から学び、保育者のやり方をみながら保育方法を自然に習得できるようになります。
また、他の親や保育者に育児相談をすることで、子育てで抱える不安やストレスが軽減されるところも大きな魅力です。親向けに学習の場を設けている施設も多くなっています。
親共同保育の現状
親共同保育を生み出したアメリカですが、共働きの家庭の増加で、親の負担が大きな親共同保育は減少傾向にあります。
しかし、この状況でも親共同保育のかたちを残していく動きは根強くあり、親の活動参加を夫婦で分担したり、家族や親戚に頼んだりする親もいます。
また、様々なメリットのある親共同保育を支える地域・州・全国レベルの団体CCPPNSがあります。
CCPPNS は、親や親共同保育で働く保育者たちの相談を受け付け、情報交換や学習の機会を提供しています。
現在の日本と親共同保育
日本では待機児童の問題から急ピッチで保育施設が増えていますが、まだまだ足りません。
働く母親が増える中、親が参加する保育施設は難しいのでしょう。
ですが、地域や他の家族と関わることで大きなメリットのある親共同保育が、日本であっても良いのでは?
国だけが動くのでなく企業が動くことで母親とだけでなく父親もより保育に関われるのではないでしょうか。